ISO/IEC 17025の認定を目指すラボや、報告書に不確かさを記載する必要が生じたラボから、「不確かさの見積もり方がわからない」という相談を受けることが多いです。GUM(測定の不確かさの表現のガイド)は存在しますが、実際の分析業務にどう適用するかは、読んだだけではわかりにくいのが現実です。

不確かさとは何か、精度と何が違うか

精度(precision)は繰り返し測定のばらつきを表しますが、不確かさはそれだけでなく、測定に関わるすべての要因(標準物質の濃度の不確かさ、検量線のフィッティング誤差、温度変動の影響など)を統合した指標です。精度が良くても、使用した標準物質の濃度に大きな不確かさがあれば、測定結果全体の不確かさは大きくなります。

不確かさの要因を特定する

最初のステップは、測定プロセスを分解して不確かさの要因をリストアップすることです。一般的な化学分析では、標準物質の濃度、検量線のフィッティング、繰り返し測定のばらつき、サンプルの前処理(回収率)、温度・体積の測定誤差などが主な要因です。フィッシュボーン図(特性要因図)を使って要因を整理すると、見落としが減ります。

タイプAとタイプBの評価

不確かさの評価方法はタイプAとタイプBに分かれます。タイプAは繰り返し測定のデータから統計的に求めるもの(標準偏差)で、タイプBは文献値・校正証明書・仕様書などから求めるものです。多くの場合、両方の要因が混在します。それぞれを標準不確かさ(標準偏差相当)に変換した上で、二乗和の平方根として合成します。

拡張不確かさと報告書への記載

合成標準不確かさに包含係数k(通常k=2、信頼水準約95%)を掛けたものが拡張不確かさです。報告書には「測定値 ± 拡張不確かさ(k=2)」の形で記載します。例えば「鉛 0.023 mg/L ± 0.004 mg/L(k=2)」のように表記します。この記載があることで、測定値の信頼性が定量的に示されます。

実務での簡略化アプローチ

すべての要因を厳密に評価するのは時間がかかります。実務では、主要な要因(繰り返し精度・標準物質の不確かさ・回収率)に絞って評価し、その他の要因は保守的な見積もりで加算する方法が現実的です。重要なのは、どの要因を考慮してどの要因を無視したかを文書に残すことです。

測定の不確かさ評価の実務支援や、ISO/IEC 17025認定取得に向けた文書整備のご相談は、Lab Core Zoneまでお気軽にどうぞ。