水質分析の結果が信頼できないとき、原因は分析機器や測定メソッドではなく、サンプリングの段階にあることが少なくありません。どれだけ精密な機器で測定しても、採取から分析までの間にサンプルが変質していれば、得られる数値は現実を反映しません。サンプリングは分析の一部です。

採取容器の材質選択

重金属分析にはポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)製の容器を使います。ガラス容器は重金属を吸着する可能性があるため、微量元素分析には適しません。一方、有機化合物の分析にはガラス容器が適しており、PE容器では可塑剤などの溶出が問題になることがあります。測定対象に応じて容器材質を使い分けることが基本です。

容器の洗浄と前処理

重金属分析用の容器は、使用前に希硝酸(10%程度)で一晩浸漬し、超純水で十分にすすぐ必要があります。市販の「洗浄済み」容器でも、この前処理を省略すると汚染リスクがあります。有機化合物分析用のガラス容器は、アセトンと超純水で洗浄後、オーブンで乾燥させます。現場でのコンタミネーションを防ぐため、容器は採取直前まで密栓しておきます。

保存条件と保存期間

重金属分析用サンプルは、採取後すぐに硝酸を加えてpH 2以下に調整し、4°C以下で保存します。この処理をしないと、金属が容器壁に吸着したり、微生物活動によって形態が変化したりします。有機化合物(農薬・VOCなど)は、遮光・低温保存が基本で、保存期間は化合物によって異なります。保存期間を超えたサンプルの分析結果は、報告書に保存条件と採取からの経過時間を明記する必要があります。

現地での記録と現場ブランク

採取時には、採取場所・日時・天候・水温・pH・外観(色・濁り・臭い)を記録します。また、現場ブランク(超純水を現地で容器に入れて持ち帰ったもの)を作成することで、採取・輸送・保存過程でのコンタミネーションを確認できます。この記録が、後から測定結果の異常値を説明する際の根拠になります。

法規制対応での注意点

水質汚濁防止法に基づく排水測定では、採取方法・保存条件・分析方法が告示で定められています。自己測定の場合、この手順から逸脱すると測定結果の法的有効性が問われることがあります。採取方法に不安がある場合は、最初の1〜2回は専門家の立会いを求めることをお勧めします。

環境水質のサンプリング計画や分析の受託についてのご相談は、Lab Core Zoneまでお気軽にどうぞ。現地採取の立会いにも対応しています。